習近平主席は浙江省で勤務していた頃、十分な調査研究を行い、省内の実情を把握し、構想を深く思慮した上で、浙江省の発展のために“八つの優位性を発揮し”、“八つの取り組みを推進する”という重大な施策を打ち出しました。略して“八八戦略”と言います。

　　“八八戦略”が提唱された背景には、世紀交代期にある浙江省が、

　　改革開放以来遂げてきた発展の積み重ねを経て、経済の大きな発展と社会の大変革の重要な時期に置かれていたことがあります。つまり、“成長の悩み”に直面していたのです。従来の発展方式が持続困難であることや、都市部と農村部の格差が拡大しつつあるなどの問題をいち早く解決しなければならなかったわけです。“八八戦略”は当時の浙江省が直面したネックになっている難関と発展のモデルチェンジを要する時代の課題に対して、系統的に答えを示しました。

　　浙江省の“八八戦略”は実践から生まれ、さらに実践を超越し、同時に実践を指導し、リードしています。“八八戦略”を実施する際に、生態環境保護と経済・社会発展を統合し、浙江省のエコロジーの優位性を発展の優位性に転換させるために、創造的に打ち出したのは、“緑の山河こそ金山銀山”という理念です。この理念は今日では広く知られています。そのほか、経済構造の調整と発展方式の転換を推進するために、“騰籠換鳥”(省内の古い産業を移転し全国から優秀な企業を誘致する)と“鳳凰涅槃”(ハイテクによる工業化を実現し、省内の産業を新しく生まれ変わらせる)という産業グレードアップの方針を打ち出しました。地域間の協調発展を促進するために、先進地域が発展途上地域を牽引し、沿岸地域と山間地域の協力発展を図る“山海協力プロジェクト”を推進・実施しました。また、農村の建設を進めるために、環境整備のための“千万プロジェクト”(“千村モデル、万村整備”プロジェクト)を実施し、“誰もが仕事を持ち、家々に所得が保障される”という発展目標を掲げました。対外開放と対外協力を拡大するために、省内の範囲を越えて省外での発展を図るという、浙江省の経済成長を目指す“サツマイモ式の経済発展”方式を提案しました。これらの先進的な理念、構想、戦略的なプロジェクトは、浙江省の発展に深く影響を与え、経済発展を促進させたのみならず、今日ではその経験と方法は全国各地で生かされています。

　　浙江の“八八戦略”は勇敢に潮流の先頭に立ち、長期的な発展に戦略的な計画を提供すると同時に、人々の心に寄り添い、実務を着実に行っています。“八八戦略”がもたらした変化や影響は、点から面へ、遠距離から近距離へと広がり、人々の衣食住、教育、就職、医療、介護など、さまざまな面に関わっています。それは私たちの身近にあり、目に見え、触れることができ、実感できるものです。

　　高い所に登らなければ、遠くが見渡せないように、各地域の進歩には、長期的な発展を導く先見的な科学的計画が必要とされます。

　　“八八戦略”は浙江省の質の高い発展に関わる難題に長期的かつ根本的な解決策を与えました。魚を以て人に授くるとともに、漁をも以て人に授くる。“八八戦略”は“川を渡る”という課題を明確にし、どこへ進むべきかを示すと同時に、問題解決に必要な“橋”と“船”を提供し、いかに進むべきかを指導しています。

　　“八八戦略”は浙江省から生まれ、時空を超えるものとなっています。そこに含まれる重要な思想、先進的な理念と科学的な方法は、

　　中国全土のみならず、世界にも共有できる重要な指導的意義を持っているのです。

　　作者：張燕　習近平経済思想研究センター　研究四部主任